野心のために糟糠の妻を捨てる男

韓国ドラマは同じシナリオでのリメイクが多いよねーと前に書いたけど、今日ご紹介するドラマもリメイク作品です。最初は1978年に作られ、その後、映画化、さらに下記の通り2回もリメイクされた人気シナリオです。


1999年のリメーク版  ★★★★☆

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2007年に再リメークされたもの  ★★☆☆☆

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共通のストーリーは、
・貧乏なカップルがいる。高校時代からずっとつきあってて籍は入れてないけど子供もいる。奥さんは、貧乏な夫の兄弟や親の世話もしていて尽くすタイプ
・男性は貧しい生まれだが、頭がよく仕事ができる。のし上がり系。
・男性が勤める会社のオーナーの娘が、男性を一方的に見初め、交際&結婚を求める。
・最初は断っていた男性だが、会社が手に入る、という欲に負けて、糟糠の妻を捨て、会長令嬢との結婚を決める。
・一方、会長には娘の他に息子(跡取り)もいるのだが、その跡取り息子が上記の捨てられた女性を好きになり求婚。
・これにより、「捨てられた糟糠の妻→会長の一人息子の妻=跡取り息子の妻」となり、「のし上がり系の男性は、娘の婿」にすぎないので、糟糠の妻の方が立場が上になる。(一種の復讐劇でもある)


ってな感じです。


ドラマとしては圧倒的に1999年版の方がよいです。最大の理由は役者の演技力の違い。1999年版の主役の二人がめちゃ巧いです。またシナリオも1999年のほうがシンプルで、メッセージがより鮮明。2007年版は関係ない登場人物が多すぎる。

あと、1999年版は完全な復讐劇で、会長の息子は包容力のあるしたたかな男性として、また、捨てられる女性も後半では復讐に生きる心の強い女性として描かれますが、2007年版では二人とも「愛に生きる人」として描かれます。

愛に生きる人がいっぱいでてくると、ドラマがぐちゃぐちゃになるんですよね。「好きよ、嫌いよ、大好きよ、別れるわ、絶対別れないわ、死ぬわ、殺すわ、許すわ、絶対許さないわ・・・」的ループが延々と続いて「どうでもいいから、さっさと決めろよ!」と言いたくなります。その点、1999年版ではみんな「俺は(私は)これが大事!」というのが明確でわかりやすい。

また、上記2作品の間は8年あいているので、時代背景がかなり違います。1999年の作品では、ここまで?っていうくらい貧しい家が描かれますが、2007年の方だと貧しいとはいえ、まあまあの暮らしに見えます。「韓国経済も発展したのねー」って感じです。でも「財閥と庶民」の格差は相変わらずなんだなーとも思います。



さて、このドラマのシナリオがちきりんはかなり好きなんですが、理由は、

・「野心のために人間性を失っていく人」が大好き
・捨てられた糟糠の妻が、いきなり次期会長の妻になるという復讐劇もめっちゃワクワクする
からかなと思います。


また、前作の方が新作より楽しめるのは、
・復讐劇の方が、「愛に生きる男女」のお話より楽しいからでしょう。



でもこんな話、ホントに現実にたくさんあるんですかね?男性が社会的に成功した後に、糟糠の妻を離縁して若い女の子と再婚する、っていう話なら古今東西よくあります。でも、「出世のために、妻をてて逆玉令嬢と結婚する」というケースは、ドラマでは日本でもよく見るのですが、現実ではほとんど聞いたことない。だって、いい家の社長のお嬢さんは普通、きちんとお見合いしてそれなりの人と結婚するわけで、逆玉ケースなんてあんまり考えられないんですけどねー。

でもこれだけ何度もリメークされてるんだし、(ちきりん含め)みんなこういうストーリーが好きなんだなーと、あらためて思いました。


そんじゃーね。