奈良の古寺と仏像展

三井記念美術館(美術館サイト)でやっている“奈良の古寺と仏像”という展覧会を観てきました。予想通りすばらしかったです。

この美術館は日本橋の三井タワーという豪華絢爛なオフィスビルにあります。マンダリンホテルも入っている、リーマンショック前のプチバブル期(2005年)建設のビルで、隣は越後屋からの流れを引く“三井本館”です。

三井美術館の最初の展示室は、昔の“三井財閥の役員会議室”が移築されて使われており、この部屋の意匠も見応えがあります。




さて、展示品、すばらしかったですー。

目玉作品は国宝である、法隆寺の観音菩薩立像(夢違観音)(上記ポスターに掲載のもの)だと思いますが、ちきりん的にはなんといっても、東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像(鎌倉時代・重要文化財)がイチオシです。

下記の写真でわかるように極めてユニークな仏様で、その巨大なアフロヘアが特徴です。これは、お釈迦様があまりに長い時間、悟りを開くために悩んでいたため、髪の毛が伸びてしまったらしいんですが・・・今で言うヒッキーですかね・・・なんか仏様に似つかわしくない下俗的なストーリーでしょ。

その髪の毛の下のお顔もとても柔和で、おもわずガラス越しに手を合わせてしまいました。法衣のドレープもすばらしく綺麗。うーん、感動。


↓写真はイマイチですが、現物はすごいオーラがあります。必見!


しかもこの仏様、もともとの東大寺では一年に1日(10月5日)しか開示されないんです。その日に奈良に行かないと観られないのに、この展示会ではいつでも観ることができる!これだけでも1100円(割引値段)の価値はあるって思いました。


その他にも下記のようなすばらしい仏様が、とても見やすく展示されています。お寺に行って観るのもいいのですが、仏像自体の観賞のしやすさでいえば、こういった展示会の方が何倍も見やすいですね。


よかった作品
・東大寺の四天王立像(重要文化財)・・・動きがとてもダイナミック
・長谷寺の十一面観音菩薩立像(重要文化財)
・富麻寺の吉祥天立像(重要文化財)・・・セクシー
・法隆寺の観音菩薩立像(国宝)・・・繊細
・大安寺の広目天立像(重要文化財)・・・迫力がすごい
・秋篠寺の地蔵菩薩寺像(重要文化財)
・元興寺の聖徳太子立像(重要文化財)・・・おー、たしかに聖徳太子だ!
・唐招提寺の如来形立像(顔も手足もないのに重要文化財)・・・すばらしいライン
・西大寺の塔本四仏像(重要文化財)



仏像のすばらしさは3つあって、
(1)ラインの美しさ
(2)動きのダイナミズム
(3)お顔の癒しオーラ

でしょうか。


まずは「ラインがすばらしい」んです。イタリアのアパレル作品にあるような“流れるようなライン”。“艶めかしいライン”が体のライン、法衣のヒダなどのライン、手足の流れなどに表現されています。

また、動きのあるポーズに“いまにも動き出しそう!”な躍動感を感じる作品も少なくありません。最後にどれもこれも表情が“包み込むように”やさしい。包容力があるというか。すごく“ありがたい”感じです。

多くの仏像は、もともと金箔が貼られていたり極彩色だったものも多いと思うのですが、色が残っていたらどんなにまばゆかっただろうと思います。

というわけで、ほんとに綺麗な仏像ばかりで目の保養にもなり、また、とても豊かな気持ちになれました。来年の季節のいい時期に奈良に1週間くらい滞在して、お寺を回ろうかなーとか思ったです。



ところで、見に来ている人は(有名絵画展などと比べて)高齢の方が多いですね。あと、ちきりんは赤坂・六本木エリアの美術館に行くことが多いのですが、それらにくらべると圧倒的に外人が少ない。まあ、丸の内全体が港区より日本人比率が高いのですが、こんなすばらしい日本の財産を海外の人にもっと観てもらえないないのはもったいないなーと思いました。越後屋、もっと頑張れよ!って感じです。


おほほほほー