満州関連本

今年の 9月、旧満州エリアに旅行します。

(同じツアーに参加される方、よろしくお願いします!)


下記は、私が今までに読んだ関連本のご紹介です。
「ツアーの課題本!?」などと堅苦しく考えていただく必要はありません。

興味と時間にあわせてお選びください。


まずはこちら。あの戦争と満州についてゼロから知りたいという方は、たぶんこの本がベストです。

なぜ戦争を未然に防げなかったのか、なぜもっと早く終わらせられなかったのか、といった視点から、極めて平易な文章で書かれた解説本。

分量も多くなく、文庫本にもなっているので非常に手軽です。一冊だけ読むというならこちらがお勧め。

とめられなかった戦争 (文春文庫)
加藤 陽子
文藝春秋 (2017-02-10)
売り上げランキング: 10,037


次は、極めてきちんとした満州正史。上記の本は「反省の視点」から書かれていますが、こちらは「分析と解説の書」です。

難しい文章ではないですが、無味乾燥としてて読み進めるのに時間かかる、という方もあるかもしれません。

なお、私がこの本を読んで驚いたのは、著者の日本語力のスゴさです。

こういうのを正当な日本語って言うんだなと感嘆しました。私にはとても書けるレベルの文章ではありません。

日本語のすばらしさに驚かされたのは三島由紀夫さんの「春の雪」とこの本くらいかも。

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)
山室 信一
中央公論新社
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何度も紹介してる昭和史全体を解説した本。戦前を解説した上巻だけでも、すごいページ数です。

が、文章は語り口調なので読みやすいとは思います。

満州に関してだけでなく、昭和の始まりあたりから、どのように日本が軍国主義に傾いていったのかが書かれています。

満州に行く行かないに拘わらず、日本人全員が読んでおくべき本だと思ってます。

昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)
半藤 一利
平凡社
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以降は「満州国に絡む実在の人物の実話」です。

清朝の皇帝は正妻以外にも多くの女性に子供を産ませているため、「王女」がたくさんいます。

そのうちのひとりが、日本の敗戦、満州国の崩壊、そして、その後に政権をとった中国共産党から追われる身となりながらも、たくましく生き抜いていく物語。

本人目線で語られていて読みやすいし、おもしろいです。

最後のほう、あきらかに共産党のプロパガンダ的な部分もあり、それも含めて中国の歴史全体を、ひとりの個人の人生を通して体験できます。

短い本なので、簡単に読めるはず。

清朝の王女に生れて―日中のはざまで (中公文庫BIBLIO)
愛新覚羅 顕〓@59D7@
中央公論新社
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こちらも実在する人物のお話。

満州国と日本の関係を強固にするため政略結婚させられたラストエンペラーの弟、溥傑と日本の侯爵令嬢 嵯峨浩さんの物語。

時代に翻弄されつつも決して諦めない、ふたりの愛と絆がすごいです。

てか、満州国絡みで「読んで明るい気持ち」になれるのはこの本くらいかも。

流転の王妃の昭和史 (中公文庫)
愛新覚羅 浩
中央公論新社 (2012-06-23)
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『昭和史』と同じくらいボリュームのある本です。

こちらも実話で、清朝最後の皇帝、溥儀の家庭教師をつとめたイギリス人男性の手記です。

昔の岩波翻訳版は「偏向削除」があり問題化しましたが、こちらはオリジナルの訳本です。

長いけど、めちゃおもしろい。

満州エリアだけでなく、北京に観光に行く人=故宮を観に行く前にコレを読んでおくと、現地で当時の様子が目の前に甦り、心から感動できます。

紫禁城の黄昏―完訳 (上)
R.F.ジョンストン 渡部 昇一
祥伝社
売り上げランキング: 32,833


完訳 紫禁城の黄昏(下) (祥伝社黄金文庫)
R F ジョンストン
祥伝社
売り上げランキング: 107,600


そんな長い本を読む時間はない、という方は映画でもいいかも。

ラストエンペラー ディレクターズ・カット  [DVD]
東北新社 (2008-06-13)
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今回は北朝鮮の対岸の街まで足をのばす予定なので、北朝鮮絡みの本もいくつか紹介しておきます。

北朝鮮の政治収容所の実態について書かれた体験記。

これを読んでいけば、旅行中、鴨緑江の向こうにこんな世界があるなんてと、いっそう胸が痛くなるでしょう。

ものすごい壮絶な話が書かれてますから、残酷な描写が嫌いな人は読まないほうがいいです。

北朝鮮 絶望収容所 (ワニ文庫)
安 明哲
ベストセラーズ
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こちらは先日、マレーシアで殺された金正男くんが小さい頃、一緒に育てられていた金正男氏のいとこが書いた回想録です。

金正日の息子に産まれるということの特殊性、そういう家に生まれてしまったらどんな生活になるのか、というようなことがリアルにわかります。

ちなみに・・・・この著者の人も韓国に亡命後、誰かに殺されてしまっています・・・

北朝鮮はるかなり―金正日官邸で暮らした20年 (文春文庫)
成 〓琅
文藝春秋
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なんだか最後は怖い話で終わってしまいましたが、満州に関する本は、それこそ山ほどあります。
なんせ、満州で暮らした記憶のある人がまだ生きてるくらいですからね。

というわけで、ご自身にあった本でいいので、一冊でも読んで来られるとおもしろいかなと思います。


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