山の中のハイテク

地方の山沿いの道路を車で走っていると、たびたび“片側は工事中。信号に従って、一方向ずつ順番に走行すべし”という箇所があります。

こういうの、昔は全部の場所に“人間”が立って旗を振り、片側通行の指示をするか、もしくは、すべての場所にバッテリー付きの信号機を設置する必要がありました。


とはいえバッテリーだって定期的に充電が必要なので、一日一回など、バッテリーの交換や充電のために作業員が現地を訪れる必要があります。

こういう道、走った事がある人はわかると思うけど、そこにたどり着くだけでも街からは何時間もかかるし、大半がくねくねした一本道だから、作業車両がしばらく停止してるだけでも渋滞や事故の元になるんです。


ところが最近は“太陽光発電 + LED”の組み合わせにより、手間暇フリーの自動信号機が設置されるようになっています。


太陽光エネルギーを集めて電気に変換し、電気パネルや信号を動かすんです。

これは左側の円形パネルの“光の輪”がひとつずつ消えていくことで、あとどれくらいで信号が切り替わるかも示されるという優れモノ。おかげでイライラせずに、待つことができます。

てか、こういう車の少ない場所でドライバーを待たせてイライラさせると、「どうせ対向車は来ないよ。信号無視して行こう」みたいな人がでてきてしまうので、待ち時間を示すことの意義はとても大きいんです。


で、下の写真の黄色の矢印で示したのが太陽光発電パネル。すごい小さいでしょ。

こんな小さなパネルで大丈夫なのは、LED が極めて省電力だからですよね。だからこれだけで、夜間分の電気も貯めておける。

おそらく LED の開発前だと、巨大な電気パネルが必要となり、実用的ではなかったのだと思います。


今はまだ、設定された時間ごとに信号が変わるため、対向車が来ていない時でも赤で止まらされるのですが、今後、センサーとコンピュータが付けば、対向車が来た場合だけ赤になる、というシステムにもできるはず。


今回ドライブした山中の道では、2時間ほどのドライブの間に 7回くらいこういう場所がありました。おそらく台風などで、あちこちに土砂崩れがあったのでしょう。

それらの場所にぜんぶ人間が立ったり、バッテリー交換のための訪問作業が必要になるのと、こうやって自律的なシステムが稼働するのとでは、この人手不足の中、大きくコストが変わります。

加えて、そういう「これ、人間がやる必要ある?」と思えるような仕事をやらされる人の数も減らせます。


一日中、こういう場所で信号操作をしていたり、毎日毎日、山の中のバッテリー交換だけを担当するのって、どんなに意義深いと分かっていても大変な仕事でしょ?

てか、人が信号旗で指示する場合、たったひとりでこの道に、朝から晩まで一日中立ってる必要があったんですよ。来る日も来る日も、雨の日も風の日も。


★★★


太陽光発電技術、省電力 LED の開発、そして、センサーやコンピュータ制御、さまざまな技術が多くの人達を、より人間らしい働き方に近づけてくれる。

技術ってほんと素晴らしいと思います。


おほほほほ



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