シャガール展に行ってきた

本体ブログにもちょい興奮気味な感想を書きましたが、上野で行われているシャガール展に感動したので観た作品の覚え書きを。


展示の流れは、
(1)ロシアのネオ・プリミティヴィスム
(2)彩と光 ロシアの芸術家達とキュビズム
(3)ロシアへの帰郷
(4)シャガール独自の世界へ
(5)歌劇「魔笛」の舞台美術
(最後の2つの展示順は逆だったように思う)



★★★

以下、セクションごとに目に留まった作品のリストです。


(1)ロシアのネオ・プリミティヴィスム

死者
ロシアのおとぎ話の世界に入っていけるような絵。色、構図、面割り、いずれも独特の浮遊感がある。空に浮かぶ女の人の服の色。ヨーロッパの絵ではなく確かにロシアの絵なんだけど、でもやっぱり洗練されてる。


アトリエ
青色のバリエーションがすばらしい


収穫
ものすごいインパクトのある赤と青の間に黄色のTシャツ
後ろの木もおとぎの世界の木みたい。



吸い寄せられる。こういうのを芸術と呼ぶのだって感じ。
色、構図、筆使い、完璧。絵としてはこれが一番よかった。


以下、(シャガールではなく)ナターリヤ・ゴンチャローワの作品
ジャガイモ農園
ブドウを搾る足
収穫物を運ぶ女達

シンプルな構図、力強いライン、大地の力が表現されている。人の顔、表情もいい。色使いも考えられないほど素敵。欧州の繊細でハイセンスな絵とは全く違うおおらかで原始的なロシアの絵。


ミハイル・ラリオーノフ

すばらしい絵だなー。Bechaはロシア語で春という意味らしい。


(2)彩と光 ロシアの芸術家達とキュビズム

ロシアとロバとその他のものに
超有名作品。


詩人マジン
こんな色、こんな表情、こんな構図をよく思いつく。感嘆。


(3)ロシアへの帰郷

緑色の恋人達
赤と緑の色が独特の深みを持ってて、怖いような色です。



(パンフと順番が逆ですが、こっちを先に見たので)
(5)歌劇「魔笛」の舞台美術
シャガールにオペラの舞台美術を任せるというセンスがすごいなー。どれもいいけど、最初の
モーツアルトへのオマージュの黄色から赤のフィナーレへの転換は圧巻。
あと、夜の女王の衣装や舞台背景は、実物じゃないのにすごい迫力で心打たれる。
小さな作品だけど、“小さな絨毯”というのもよかった。


オペラは総合芸術で、まさに小宇宙だなーと。
魔笛は観たことないのだけど、機会があったら観てみたい。


(4)シャガール独自の世界へ

最後は南仏で新しい家族と穏やかな生活を送りつつも、人生を締めくくる大作を数多く残している。ステンドグラスや絵画以外の特別な作品も作り続けている。すごいパワーです。


最後の頃の絵の中には、彼が人生を過ごした街がたくさんでてくる。やっぱり生きてきた道筋を思い出してたんだろうな。97年もの波乱に富んだ人生を振り返りつつ、すべてをキャンバスに込める天才かー。


パリという街
アメリカという国
ロシアの大地
生まれ故郷のユダヤ人居住地(シュテートル)、ヴェテスブルク


家族の顕現
彼女を巡って
赤い馬
イカルスの墜落
日曜日

あたりは圧巻。声が出ません。
(上記のポスターの絵が“日曜日”です。パリへの愛に溢れている。)


80歳とかいう年齢でこんな絵を描いているなんてものすごいパワーだ。才能を開示(展開)するには体力がいるんだよねー。


ちきりんはその昔、絵を習ってた頃、シャガールの模写をよくやっていた。模写をやるだけで才能のなさはよくわかった。


おほほほほー